プロローグ

毎年梅雨過ぎ位になると近所のスーパーマーケットに公募ポスターが張り出される。


大賞受賞作品は本になるのかぁ。
自分の書いたのが本になって、本屋さんに並ぶなんて、
ゆめだよなぁ。。。

買い物の行き帰り何度もこのポスターの前でたたずんだ。

書いてみたいなぁ


創作めいたことは、高校時代、文芸部の顧問の先生と仲良くなって、
特別に文集に載せてもらった文が初めてだった。
「こんな文章が書けるなら、もっといい成績をつけてあげたのに」
文集を読んだ現代国語のT先生に言われた。
生徒指導で何度か職員室に呼び出されて、しつこいお説教ばかりされた思い出しかないT先生。
できれば接触したくないT先生にそう言われて驚いた。
「じゃあ、お願いしま〜す。」
そうおどけて言ってみたけど、それはもう卒業間際の2月の中ごろだった。

ブログはコメントを残してくださる方々の反応とか、
直接感想を言ってくださる方からの言葉を励みに書いている。
いつもモニターの向こう側の方たちの顔を思い浮かべながらPCに向かっている。
そして書く内容は日々の出来事を、自分自身忘れたくない事柄を書いている。
応募する作文は、見ず知らずの偉い先生方へ向けることになる。
何を書けばいいんだろう。
応募してみたいと、もらって帰った応募チラシもかばんの奥底に入ったまま。
去年はいつのまにか締め切り日を過ぎていた。


仕事で立ち寄った信金の待ち時間、何気なく手に取った雑誌の白黒記事にそれを見つけた。
本当に小さな記事だった。
芸能人のスキャンダルばかりが目立つ女性週刊誌だけど、
タイムや朝日グラフのような惨劇の写真で埋め尽くされたときだった。
カラーの写真とは扱いが違いすぎる、キャッシュカードほどの白黒写真と共に記載された記事は、
信金の用事を済ませた後もずっと脳裏にこびりついて離れなかった。
何日もあの記事のことを考え、あの写真の中の風景が引き金になって私の頭上にたくさんの活字が降ってきた。


書きたい



災害外救助犬の活躍
私がそれを初めて知ったのは、阪神淡路大震災の後だった。
倒壊した家屋の下敷きになった人を犬の強い嗅覚を使って探す。
衝撃的だった。
その様子はもちろんテレビを通してしか知らなかった。
知りたい欲求にかられた私は書店に足を運んだ。
小さな文庫本にアメリカ人の書いた本を見つけた。
災害救助に犬を使うきっかけとなったことや、訓練の様子が細かく書かれていた。
そしてもっとそれを身近に感じたのは、愛知県にある豊川稲荷へ初詣に行ったとき。
山門の入り口で3頭のラブラドールレトリバーがおとなしくたたずんでいた。
そばには募金箱。その傍らに大柄な白人のオジサマがいた。
「まあ、可愛いわね。おとなしいのね。」
災害救助犬と書かれたベストをつけているレトリバーをなでようと、手を伸ばした御夫人がいた。
「サワラナイデクダサイ」
オジサマが低い声で注意した。
盲導犬も仕事中に声をかけたい触ったりしてはいけない。
仕事をする犬はそう訓練するのだろう。

2011.3.11
東日本一帯に地震による大災害が起きた。
ドイツから救助犬の一団がついた。
テレビのニュースで取り上げられたのはそれだけだった。
地震だけじゃなく、津波による被害もすさまじいと報道された。
被災された人々の捜索が難航している。
救助犬たちはどうしているだろう。

ぼくは災害救助犬





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